熱陶甲子園は瀬川さん、田中さんの不来方高ペアが優勝
縄文時代そのままの手法で土器を作り、焼く。素朴な土の香りと激しい炎に、参加者は心を躍らせ、胸を弾ませる。「縄文の炎・藤沢野焼祭2019」は8月10、11の両日、藤沢運動広場「特設縄文村」で開かれ、審査の結果、718点の頂点には第37区自治会の作品「海想」が選ばれました。同自治会は3度目の最高賞受賞です。また、同時開催した高校生の陶芸甲子園「熱陶甲子園 in fujisawa」には3県11校から67点の応募があり、不来方高の瀬川凛さん、田中朱音さんの共同作品「ベロちゃん」が優勝、初代王座に輝きました。藤沢で44年にわたって愛され、育まれた「藤沢野焼祭」をリポートします。

最高賞の塩野半十郎大賞を受賞した第37区自治会
8月10日
午前中の雨は昼過ぎには上がり、縄文の大地に夏空が広がりました。会場の藤沢運動広場「特設縄文村」は、容赦なく照り付ける日差しと祭りに参加した人々の熱気でヒートアップ。44回目の藤沢野焼祭は予定どおり幕を開けました。
会場では、午後3時半ごろから窯入れが、5時過ぎからわら灰づくりが行われ、火入れを待つばかりとなりました。今回は、7人の高校生がボランティアで参加。窯入れから作品審査まで、祭りを支えてくれました。


火入れに先立ち、地元の還暦バンド「還過爺+αバンド」と仙台市などで活躍する本格派バンド「高橋泉と縄文ジャズオーケストラ」がライブで祭りを盛り上げました。

日が西の空に沈みかけた午後6時、縄文人に扮した藤沢中生徒が登場。マイギリ式と呼ばれる当時の手法で火をおこしました。おこされた火は、勝部修大会長と千葉均実行委員長の手で会場中央に設置された祭りのシンボル「縄文の炎」に点火され、勢いよく燃え上がる火柱に拍手と歓声が沸き起こりました。



勝部大会長と千葉実行委員長
作品が入れられた縦8㍍、横4㍍の窯11基には、金子賢治審査委員長らが縄文の炎から分火し、大小785点(藤沢野焼祭718点、熱陶甲子園67点)の作品が夜を徹して豪快に焼き上げられました。

開会行事では、大会長の一関市長と共に宮城県栗原市の菅原副市長とお隣平泉町の青木町長が登壇し、登米市を加えた4市町が推進する「栗登一平」(くりといっぺい)の県際連携をPRしました。

右が菅原栗原市副市長
ステージイベントは午後6時半にスタート。藤沢町出身のギタリスト小野寺のりふみさんのバンド「Hiru☆Nori」がキレのある軽快なサウンドと透明感あふれる美しい歌声で会場を魅了しました。「藤沢スペシャルマーチングバンド」は、子供から大人までが一つになって見事なハーモニーを響かせました。一関市出身の世界的ダンサーSHUHOさんからダンスを学んだ藤沢中2年生と一般参加者で構成するダンスチーム「ダンスパフォーマンス・イン・フジサワ」は、軽快なダンスで会場を沸かせました。おなじみの「二日町祭神太鼓」は縄文の大地に勇壮な和太鼓を響かせました。恒例の「藤沢音頭」は、大勢の人が踊りの輪をつくり、交流を深めました。イベントのトリは、辻けい副審査委員長の妹辻史子さんと従妹引間幸子さんのユニット「辻史子&引間幸子」。二人はハープと篠笛を演奏。月夜に炎が燃え盛る会場に、美しく澄んだメロディーが響き渡りました。イベントの合間には、昨年に続いて「縄文スタンプラリー事業第1回抽選会」が行われ、野焼祭特別賞を含む16人が当選しました。

小野寺のりふみさん㊨は藤沢出身のギタリスト


藤沢中2年生と一般参加者のダンスチーム

二日町祭神太鼓

今年も大勢の人が踊りの輪をつくった

辻史子&引間幸子の二人
8月11日
午前7時を過ぎたころから窯出しが始まりました。真っ白い灰の山から次々と作品が取り出され、一晩かけて命が吹き込まれた作品との再会に、あちらこちらの窯から歓声が上がりました。その一方で、猛暑の影響か、割れてしまった作品も少なくありませんでした。
作品審査は、午前9時から行われ、金子賢治審査委員長をはじめとする9人の審査委員が藤沢野焼祭と熱陶甲子園の応募作品を厳正に審査しました。野焼祭は第1審査で95点を選び、第2審査で26点に絞り、第3審査で各賞を決定しました。その結果、最高賞の塩野半十郎大賞には、第37区自治会の作品「海想」が選ばれました。同自治会は、3度目の大賞受賞です。熱陶甲子園は、第1審査を通過した16点が第2審査へ進み、入賞8点が決まりました。その結果、不来方高の瀬川凛さんと田中朱音さんの共同作品「ベロちゃん」が初代王座に輝きました。

真っ白い灰の中から作品を取り出していく

今年も力作ぞろいで審査委員を悩ませた

人気のフリーペーパー「縄文ZINE」の編集長
